アニサキスとは?
アニサキスは、魚介類に寄生する白い糸状の寄生虫です。
アニサキスは、オキアミを食べた魚介類に寄生し、その魚介類を生で食べることで感染します。
症状は、軽い腹痛から激しい腹痛、腸閉塞までとさまざまです。
アニサキスはヒトの体内では約1週間で死滅するため、症状が出ない場合もあります。
アニサキス症の治療には、内視鏡を用いてアニサキスを除去する方法が有効です。
魚介類を食べた後に、上腹部痛、下腹部痛、吐き気、嘔吐、発熱などの症状が現れた場合は、アニサキス症の可能性がありますので、お早めに当院にご相談ください。
アニサキスの原因
アニサキスは、私たちが普段口にする機会の多い魚に寄生しています。
刺身などの生食で感染するケースが多いアニサキスですが、加熱が不十分な場合でも感染するリスクがあります。
アニサキスが発生しやすい
魚の種類
アニサキスは、さまざまな魚に寄生する可能性がありますが、特に以下の魚種で発見されることが多いです。
- サンマ
- サバ(特にシメサバ)
- ホッケ
- サケ
- タラ
- イワシ
- ホタルイカ
- イカ
ただし、ここに挙げた魚種以外でもアニサキスが寄生している可能性は十分にあるため、注意が必要です。
アニサキスに感染すると
どうなる?症状チェック
魚介類を食べた後、数時間経ってから次のような症状が現れた場合、アニサキス症の可能性があります。
- みぞおち(上腹部)の激痛
- 激しい腹痛
- 吐き気や嘔吐
- お腹の張りや苦しさ
- 便やガスが出ない
- アレルギー症状(蕁麻疹など)
- アナフィラキシーショック
アニサキスは、ヒトの胃や腸の壁に食いついて激しい痛みを引き起こしますが、これは食いつかれたこと自体による痛みではなく、アニサキスに対するアレルギー反応によって周囲の粘膜が炎症を起こすことで生じます。
アニサキスは、ヒトの体内では長く生きることができず、多くの場合、数日で症状は治まります。
しかし、稀に合併症を引き起こし、重症化することもあります。
そのため、上記の症状が出た場合は、速やかに受診してください。
アニサキス症の4つの種類
海の魚介類を生あるいは加熱が不十分なまま食べると、寄生虫のアニサキスが体内に侵入することがあります。
アニサキスは胃や腸の粘膜に食い込むため、食後数時間してから激しい痛みが起こります。
胃アニサキス症
アニサキス症の中でも、胃アニサキス症は、最も多くみられるタイプです。
アニサキスが胃に寄生することで、食後数時間から十数時間後に、激しい腹痛を引き起こします。
痛みの程度は波があり、吐き気や嘔吐を伴うこともあります。 また、発熱やじんましんなど、アレルギー反応が出る場合もあります。
腸アニサキス症
腸アニサキス症は、アニサキスが腸に寄生することで発症します。
食後、半日から数日経ってから症状が現れるため、原因が特定しにくい点が特徴です。
発症頻度は高くありませんが、腸閉塞や腸穿孔、腹膜炎といった重篤な症状を引き起こす可能性もあるため注意が必要です。
心当たりのある腹痛、吐き気、嘔吐などの症状がある場合は、速やかに当院を受診してください。
アニサキスアレルギー
アニサキスが死滅している、また完全に取り除かれていたとしても、じんましんなどのアレルギー症状が出る場合があります。
さらに、呼吸困難や血圧低下を伴うアナフィラキシーショックを起こす可能性もあり、注意が必要です。
アニサキスによるアレルギー反応を防ぐためには、寄生リスクのある魚介類を生で食べないようにすることが大切です。
消化管外アニサキス症
消化管外アニサキス症は、アニサキスが胃や腸などの消化管の外に出てしまう稀なケースです。
寄生した部位によっては、重篤な状態になる可能性も考えられます。
アニサキスの検査と治療方法
検査方法
胃カメラ(胃内視鏡)
アニサキス症の治療では、胃カメラを用いてアニサキスを摘出します。
胃アニサキス症の場合、胃カメラ検査でアニサキスを確認し、その場で摘出します。
ほとんどの場合、この処置によって症状は速やかに改善します。
当院では、内視鏡検査と治療の経験豊富な専門医が、丁寧な検査と処置を行っています。
胃カメラ検査が苦手な方には、鎮静剤を使用し、うとうとと眠っているようなリラックスした状態で検査を受けていただくことも可能ですのでご安心ください。
なお、稀に、大腸にアニサキスが寄生していることが疑われる場合は、大腸カメラ検査(大腸内視鏡検査)を行います。大腸カメラ検査でも、発見したアニサキスの摘出が可能です。
治療方法【種類別】
アニサキスの治療には以下のものがあります。
胃アニサキス症の場合
胃アニサキス症の場合、胃カメラ検査でアニサキスを直接確認し、内視鏡の先端に取り付けた鉗子で摘出することができます。
アニサキスを摘出することで、多くの場合、症状は速やかに改善します。
検査と摘出は、通常10分程度で完了します。
腸アニサキス症の場合
腸アニサキス症は、アニサキス症の中でも比較的稀なケースです。
治療としては、内服薬などによる対症療法を行い、症状の改善を図ります。
アニサキスアレルギーの場合
アニサキス症の治療では、症状に合わせて薬物療法を行います。
軽症の場合は、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬、ステロイド薬を使用します。
アナフィラキシーショックを起こしている場合は、一刻を争うため、速やかにアドレナリン自己注射薬の投与や点滴などの治療が必要となります。
消化官外アニサキス症の場合
消化管外アニサキス症は、アニサキスが消化管の外にまで出てしまう非常に稀なケースです。
激しい胃痛や腹痛などを引き起こすことがあり、寄生した部位によっては、早急な治療が必要になる場合もあるため、速やかに受診することが重要です。
アニサキスを予防する方法
アニサキスは、約2cmの白い糸くずのような形をしていて、肉眼でも確認できます。
しかし、魚の中に入り込んでいるアニサキスをすべて見つけて取り除くことは困難です。
アニサキスによる食中毒を予防するには、次のポイントを押さえましょう。
- アニサキスの寄生が疑われる新鮮な魚介類は、内臓をできるだけ早く取り除きましょう。
- 身の部分は薄く切り、アニサキスがいないかよく確認し、しっかり噛んで食べましょう。
- 加熱する場合は、中心部まで十分に火を通しましょう。
- 酢で締めてもアニサキスは死滅しないため、注意が必要です。
- アニサキスは内臓に寄生していることが多いので、内臓を生で食べるのは避けましょう。
- アニサキスは-20℃で1日以上冷凍すると死滅します。解凍したものを刺身などで食べる場合は、十分に冷凍されていることを確認しましょう。
アニサキスアレルギーを持っている方は、アニサキスが死滅していても、また、完全に取り除かれていたとしても、アレルギー症状が出る可能性があります。
そのため、アニサキスの寄生リスクがある魚介類は、食べないようにすることが安全です。