- 大腸がんとはどんな病気?
- 大腸がんの原因
- 大腸がんの初期症状チェック
- 大腸がんに気付いたきっかけとは?
- 大腸がんの進行度【ステージ別】
- 大腸がんの早期発見のための検査
- 大腸がんの治療方法【ステージ別】
大腸がんとはどんな病気?
大腸がんは、日本人に最も多いがんであり、死亡数も肺がんに次いで2番目に多くなっています。
食生活の欧米化などにより、患者数は年々増加しており、特に女性では、死亡原因の第1位となっています。
大腸は、食べ物が消化・吸収された後、水分を吸収して便を作る器官です。大腸がんは、この大腸にできる悪性腫瘍です。
大腸は、盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸などに分けられ、それぞれの部位にがんが発生します。
大腸がんは、大腸の粘膜の細胞から発生し、進行すると周囲のリンパ節や、肝臓、肺などの臓器に転移し、放置すると死に至る可能性もある恐ろしい病気です。
大腸の粘膜から直接発生する場合と、良性のポリープ(腺腫)が大きくなってがん化する2つのパターンがあります。
大腸がんの原因
大腸がんは、食生活を含む生活習慣が深く関わっていると考えられています。
特に、脂肪分の多い食事や食物繊維の少ない食事といった、欧米型の食生活は大腸がんのリスクを高める大きな要因となります。
また、運動不足、喫煙、過度の飲酒、肥満なども、大腸がんのリスクを高める要因として挙げられます。
さらに、大腸がんは遺伝的な要因も関係していると考えられており、血縁者に大腸がんや大腸ポリープの患者様がいる場合は、発症リスクが高くなります。
大腸がんの初期症状チェック
早期の大腸がんは、自覚症状がほとんどありません。
進行した大腸がんでも、ある程度の大きさになるまでは自覚症状が出ないことが多く、症状に気づいたときには、すでにかなり進行している場合も少なくありません。
大腸がんは、早期に発見できれば完治できる病気と言われています。
そのため、自覚症状がないうちから、定期的に大腸がん検診や大腸カメラを受けることが大切です。
便潜血検査で陽性反応が出た場合は、精密検査を受けて、適切な治療を受けるようにしましょう。
ポリープの段階では健診(検診)で異常値として検出されないことも多く、症状がなくても2~3年に一度、大腸カメラの検査を受けることが最も大事になります。
大腸がんが進行すると、以下のような症状が現れることがあります。
- 血便
- 便秘になる
- 便が細くなる
- 血便が出る
- 便が残っている感じがする
- 貧血になる
- 体重が減る
がんが大きくなると、便の通りが悪くなり、便秘などの症状が現れます。
また、肛門付近にがんができると、便が細くなることがあります。
大腸がんに気付いた
きっかけとは?
大腸がんは、自覚症状が出にくい病気ですが、下記のような症状や、健康診断などのきっかけで見つかる場合もあります。
少しでも気になることがあれば、お早めに当院までご相談ください。
便潜血検査
大腸がんは、健康診断で行われる「便潜血検査」がきっかけで発見されるケースが最も多くみられます。
便潜血検査は、2日分の便を採取して、目に見えないわずかな出血(潜血)がないかを調べる検査です。
便潜血検査は、初期の段階の大腸がんであっても、出血を検出できる可能性があります。
血便
大腸がんになると、がん細胞は栄養を摂るために、新しい血管(新生血管)を作り出します。
しかし、この新生血管は、もろく、傷つきやすいため、便が通過する際に傷ついて出血し、血便として現れることがあります。
腹痛
下行結腸やS状結腸、直腸は、元々、便が比較的スムーズに通過しやすい部位です。しかし、これらの部位にがんができると、便の通りが悪くなり、腹痛や吐き気を伴うことがあります。
腸閉塞
大腸がんが大きくなると、腸管を塞いでしまい、便が通過できなくなる「腸閉塞」を起こすことがあります。
腸閉塞になると、激しい腹痛や嘔吐などの症状が現れ、緊急手術が必要になる場合もあります。
貧血
大腸がんでは、出血が起こっていても、ゆっくりとした出血であることが多く、自覚症状がないまま貧血が進行することがあります。
特に、盲腸、上行結腸、横行結腸などは、便がまだ固まっていない状態のため、がんが進行しても腹痛などの症状が現れにくい傾向があります。
そのため、貧血によるめまいやふらつきがきっかけで、大腸がんが見つかるケースも少なくありません。
体重減少
がん細胞は、増殖するために、体内のたんぱく質や脂肪を分解してエネルギー源とします。
そのため、特別な食事制限をしていないのに体重が減っていくことがあります。
特に、何もしていないのに1ヶ月で3~4kg以上の体重減少がみられる場合は、大腸がんなどの重大な病気が隠れている可能性もあるため、速やかに医療機関を受診しましょう。
大腸がんの進行度
【ステージ別】
大腸がんの進行度は、「ステージ」と呼ばれる分類で表されます。
ステージは、がんの深さやリンパ節転移、遠隔転移の有無などによって、以下の5段階に分けられます。
- ステージ0:がんが粘膜の表面にとどまっている状態
- ステージI:がんが粘膜下層までにとどまっており、リンパ節転移がない状態
- ステージII:がんが大腸の筋肉層まで達しているが、リンパ節転移がない状態
- ステージIII:がんが筋肉層を超えて周囲の組織にまで達しており、リンパ節転移がある状態
- ステージIV:肝臓や肺など、他の臓器に転移している状態
早期の大腸がん(ステージ0やステージIの一部)であれば、大腸内視鏡による切除で根治が期待できます。
しかし、がんが進行している場合は、外科手術などの治療が必要となります。
大腸がんの早期発見のための検査
大腸カメラ(大腸内視鏡)
大腸内視鏡検査は、おしり(肛門)から内視鏡を挿入し、大腸全体を観察する検査です。
大腸の粘膜を詳細に観察できるため、がんなどの病気を早期発見することができます。
検査中に大腸ポリープなどの病変が見つかった場合は、その場で切除することも可能です。
大腸ポリープを切除することで、大腸がんの予防に繋がります。
当院では、患者様に安心して検査を受けていただけるよう、痛みや不快感を最小限に抑える工夫を凝らしています。
例えば、鎮静剤を使用することで、ウトウトした状態で楽に検査を受けていただくことができます。
大腸内視鏡検査に不安をお持ちの方や、過去に辛い経験がある方も、お気軽にご相談ください。
CT検査
CT検査は、X線を使って体の断面画像を撮影する検査です。
CT検査を行うことで、がんの大きさや形、周囲の臓器への浸潤、リンパ節転移、遠隔転移の有無などを詳しく調べることができます。
検査結果は、患者様一人ひとりに最適な治療方針を決定する上で、重要な判断材料となります。
直腸診
直腸から診察を行い、しこりなどの有無、分泌物の状態を確認します。
医療用の麻酔ゼリーを手袋で肛門に塗って行うため、痛みはほとんどありません。
バリウム検査(注腸造影検査)
注腸造影検査では、肛門から造影剤と空気を注入し、X線撮影を行うことで、大腸の形や腫瘍の有無などを確認します。
検査を受ける際は、事前に腸の中を綺麗にしておく必要があります。
具体的には、前日から食事制限を行い、下剤を服用します。
検査当日は、2リットルの下剤を飲んで検査を受けます。
大腸がんの治療方法
【ステージ別】
大腸がんの治療法は、がんの進行度(ステージ)や患者様の状態によって異なります。
治療法としては、主に、手術療法、化学療法、放射線療法などがあります。
最適な治療法は、患者様一人ひとりの状態に合わせて決定します。
早期大腸がんの場合
早期の大腸がんに対しては、主に内視鏡治療と外科手術の2つの治療法があります。
どちらの治療法を選択するかは、リンパ節転移の可能性の有無によって決まります。
大腸がんが小さく(20mm以下)、リンパ節転移のリスクが低い場合は、大腸内視鏡検査の際に、内視鏡を使って切除することができます。
一方、大腸がんが20mmを超える場合や、リンパ節転移のリスクが高い場合は、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)という方法で切除します。
ESDは、入院が必要な治療法です。
内視鏡治療で切除した組織を病理検査で詳しく調べた結果、リンパ節転移のリスクが高いと判断された場合は、追加で外科手術を行うことがあります。これは、リンパ節転移を予防し、再発のリスクを下げるために行われます。
進行大腸がんの場合
大腸がんの治療には、主に外科手術、化学療法、放射線療法があります。
どの治療法を選択するかは、がんの進行度や患者様の状態によって異なります。
遠隔転移がなく、手術でがんを完全に切除できる場合は、外科手術を行います。
がんの広がりによっては、手術後に再発を予防するために、抗がん剤を使った化学療法(術後補助化学療法)を行うことがあります。
遠隔転移がある場合でも、がんの状態や患者様の全身状態によっては、手術が有効な場合があります。
手術ができない場合は、がんの進行を抑えるために、抗がん剤による化学療法を行います。
大腸がんは、早期発見できれば、内視鏡治療で完治が期待できる病気です。
また、定期的に大腸内視鏡検査を受けてポリープを切除しておくことで、大腸がんを予防することも可能です。
大腸がんを予防し、早期発見・早期治療につなげるためにも、定期的に大腸内視鏡検査を受けましょう。