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慢性胃炎・急性胃炎・萎縮性胃炎

胃炎とはどんな病気?

胃炎とはどんな病気?胃の粘膜に炎症が起きると、胃炎と診断されます。
胃炎には、暴飲暴食やストレス、喫煙などが原因で起こる急性胃炎と、ピロリ菌感染などが原因で起こる慢性胃炎など、いくつかの種類があります。
特に、ピロリ菌感染による萎縮性胃炎は、放置すると胃潰瘍や十二指腸潰瘍、さらには胃がんのリスクを高める可能性があるため注意が必要です。

胃炎の種類

胃炎は、大きく分けて「急性胃炎」と「慢性胃炎」の2つに分類されます。
そして、長期間にわたって胃炎を放置すると、「萎縮性胃炎」に進行する可能性があります。

慢性胃炎

慢性胃炎は、主にピロリ菌感染によって引き起こされる胃炎です。
胃痛、胃もたれ、吐き気、食欲不振といった症状が長く続くことが特徴です。

急性胃炎

急性胃炎は、暴飲暴食や刺激物の摂り過ぎ、喫煙などが原因で起こる突発性の胃の炎症です。
胃の痛みやみぞおちの痛み、吐き気、嘔吐、胃の不快感や膨満感などが主な症状として現れます。
多くの場合、2~3日程度で症状は治まります。

萎縮性胃炎

萎縮性胃炎とは、長期間にわたって胃の粘膜に炎症が続くことで、胃粘膜が薄くなってしまった状態です。
萎縮性胃炎を放置すると、胃潰瘍や胃がんのリスクが高まるため注意が必要です。
主な原因はピロリ菌感染で、除菌治療を行うことで粘膜の萎縮の進行を抑えられる可能性があります。
ピロリ菌感染以外では、自己免疫の異常が原因で起こる自己免疫性胃炎も萎縮性胃炎の原因となることがあります。

胃炎の原因

慢性胃炎の場合

ピロリ菌感染

ピロリ菌感染慢性胃炎は、胃の粘膜が傷つけられ、長期間にわたってその状態が続くことで起こります。
慢性胃炎の主な原因は、ピロリ菌感染によるものと考えられています。

急性胃炎の場合

生活習慣や食生活

生活習慣や食生活暴飲暴食や刺激の強い食べ物の食べ過ぎは、胃に大きな負担をかけ、急性胃炎を引き起こすことがあります。
また、毎日の飲酒や喫煙も、胃酸の分泌を促進し、胃粘膜に炎症を起こしやすくするため注意が必要です。

ストレス

ストレス強いストレスを受け続けると、自律神経のバランスが乱れ胃酸が過剰に分泌されることがあります。
その結果、胃粘膜が傷つけられ、胃炎を引き起こす可能性があります。

萎縮性胃炎の場合

慢性胃炎の長期化

慢性胃炎を放置しておくと、胃の粘膜が薄く萎縮してしまう萎縮性胃炎に進行することがあります。
さらに萎縮が進むと、胃の粘膜が腸の粘膜に似た組織に変化する腸上皮化生が起こることがあります。
腸上皮化生は、胃がん発生のリスクを高める要因の一つと考えられています。

胃炎の症状

慢性胃炎(萎縮性胃炎)の症状

慢性胃炎では、次のような症状が現れることがあります。

  • 空腹時や夜間の胸やけ
  • 食後の吐き気や胃もたれ
  • げっぷ
  • 胃の痛み(チクチクとした痛み)
  • 吐き気
  • お腹の張り
  • 食欲不振

ただし、これらの症状は慢性胃炎特有のものではなく、胃潰瘍や胃がんなどの病気でもみられることがあります。
また、症状の強さと胃粘膜の炎症の程度は必ずしも一致しません。
症状が強く出ているにもかかわらず検査では軽い炎症しかみられない場合もあれば、逆に、自覚症状がないのに、検査を受けたら進行した萎縮性胃炎が見つかることもあります。

急性胃炎の症状

急性胃炎は、以下のような症状が、突然、激しく現れるのが特徴です。

  • 胃の痛み
  • みぞおち周辺の痛み
  • 胃の膨満感
  • 胃周辺の違和感や不快感
  • 胸やけ
  • 吐き気、嘔吐
  • 吐血
  • 下血(黒い便)

少しでも気になる症状があれば、早めに受診しましょう。

胃カメラは痛くない?
胃炎の検査方法

当院では、胃の症状に対して、まずは患者様のお話を詳しく伺い原因を探っていきます。
暴飲暴食など、原因がはっきりしている場合には、その原因に対する食事指導や治療を行います。
原因が特定できない場合や、慢性胃炎が疑われる場合には胃カメラ検査を行います。
胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍などが疑われる場合には、胃の粘膜を採取して詳しく検査することもあります。
市販の胃薬を服用して症状が改善することもありますが、胃カメラ検査を受けなければ、胃炎や胃潰瘍、胃がんの可能性を完全に否定することはできません。
当院では、豊富な経験を持つ内視鏡専門医が、苦痛の少ない鼻から挿入する経鼻内視鏡検査や、鎮静剤を使用した無痛の胃カメラ検査を行っています。
少しでも胃の症状が気になる方は、お気軽にご相談ください。

胃炎の治療

慢性胃炎の場合

ピロリ菌除去

ピロリ菌感染が確認された場合は、胃薬による治療に加え、ピロリ菌の除菌治療を行います。
ピロリ菌を除菌することで、胃がんのリスクを低下させるだけでなく、胃炎の再発や胃潰瘍の予防にもつながります。
除菌治療は、抗生物質と胃酸の分泌を抑える3種類の薬を7日間服用します。
その後、1カ月半~2か月後に呼吸の検査で除菌の判定を行います。

急性胃炎の場合

生活習慣の改善

症状の改善を促すため、消化の良い食事を心がけましょう。
また、喫煙、カフェインの摂取、香辛料の摂り過ぎは、胃に負担をかけるため控えてください。
ストレスをため込まないようにすることも大切です。

薬物療法

急性胃炎の治療では、まず原因を特定することが重要です。
暴飲暴食や薬の副作用など、原因がはっきりしている場合は、その原因を取り除くとともに症状に合わせて胃酸の分泌を抑える薬や胃粘膜を保護する薬などを処方します。
また、服用している薬が原因で胃炎が起きている場合は、他の薬への変更を検討します。
急性胃炎は、通常は数日で治まりますが、放置すると慢性胃炎に移行し胃潰瘍のリスクを高める可能性があります。
自己判断せずに、医療機関を受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。

胃がんにつながることも?
胃炎と胃がんの関係性

胃がんにつながることも?胃炎と胃がんの関係性慢性胃炎は、放置すると胃粘膜の萎縮を引き起こし、萎縮性胃炎へと進行することがあります。
さらに萎縮が進むと、腸上皮化生と呼ばれる、胃の粘膜が腸の粘膜に似た組織に変化することがあります。
腸上皮化生は、胃がん発生のリスクを高める要因の一つとされており、萎縮性胃炎は前がん病変と捉えられています。
胃がんを予防するためには、慢性胃炎の段階で適切な治療を行い、胃粘膜の萎縮の進行を抑えることが重要です。
ピロリ菌感染が原因で慢性胃炎になっている場合は、除菌治療を行うことで、萎縮性胃炎への進行や胃がんのリスクを抑制することができます。
ピロリ菌に感染していない場合でも、定期的に胃カメラ検査を受けることで、萎縮性胃炎や胃がんの早期発見・早期治療を目指しましょう。