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炎症性腸疾患

このような症状がある方は
炎症性腸疾患かもしれません

以下の症状が複数当てはまる場合は、炎症性腸疾患の可能性があります。
放置すると重症化する可能性もあるため、お早めに医療機関を受診しましょう。

このような症状がある方は炎症性腸疾患かもしれません
  • 一日に何度も下痢をする
  • 激しい腹痛が起こる
  • 長期間にわたって下痢が続いている
  • 便に白い粘膜が付着している
  • 血便が出る
  • 下腹部に違和感がある
  • 排便後、便器が赤くなる

炎症性腸疾患とは?

炎症性腸疾患は、腸に慢性的な炎症が起こり、下痢や腹痛などの症状を引き起こす病気です。
炎症性腸疾患には、「潰瘍性大腸炎」と「クローン病」の2種類があります。
国の指定する難病の一つで、患者数は年々増加しています。
特に潰瘍性大腸炎は増加傾向にあり、若年層に多く発症する傾向があります。
働き盛りや子育て世代にも発症するため、日常生活や仕事に大きな影響を及ぼす可能性があります。
炎症性大腸炎の原因は、遺伝的要因と環境的要因が重なることで発症すると考えられておりますが、まだはっきりとは解明されておらず、根本的な治療法も確立されていません。根本的な治療法も確立されていません。
しかし、近年では治療法が大きく進歩しており、適切な治療を受けることで、症状をコントロールし、充実した日常生活を送ることが可能になっています。
炎症性大腸炎は、早期発見・早期治療が重要です。気になる症状がある場合は、お早めに当院にご相談ください。

潰瘍性大腸炎とクローン病の
違い

潰瘍性大腸炎とクローン病の違い

炎症性腸疾患には、潰瘍性大腸炎とクローン病があります。
どちらも、免疫の異常が関係していると考えられていますが、はっきりとした原因は分かっていません。
潰瘍性大腸炎とクローン病は、どちらも消化管に慢性的な炎症を起こし、症状が落ち着いている時期(寛解期)と、症状が出る時期(活動期)を繰り返します。
大きな違いは、炎症が起こる場所と深さです。
潰瘍性大腸炎は主に大腸の粘膜に炎症が起こり、比較的浅い炎症であることが多く、クローン病は口から肛門までの消化管のどこにでもに炎症が起こる可能性があり、深い炎症となることが多いという違いがあります。
クローン病は、栄養障害を起こしやすいため、栄養療法が必要になるなど潰瘍性大腸炎とは治療法が異なる場合があります。
そのため、治療方針を決定する上で正確な診断が非常に重要になります。
いずれの病気も、若い世代に多くみられますが、高齢者を含め、幅広い年齢層で発症する可能性があります。
炎症を抑える薬物療法などを継続することで、寛解状態を維持し、発症前と変わらない生活を送ることができます。
症状が治まった後も、自己判断で治療を中断せず、定期的に受診して、医師の指示に従って治療を継続することが大切です。

炎症性腸疾患の原因

潰瘍性大腸炎とクローン病は、炎症性腸疾患と呼ばれ、主に小児期から青年期に発症することが多く、症状が良くなったり悪くなったりを繰り返す慢性的な病気です。
炎症性腸疾患の原因は、遺伝的な要因、環境要因、腸内細菌のバランスの乱れなど、様々な要因が複雑に絡み合っていると考えられています。
本来、体を守る役割を担う免疫システムが、腸や腸内に存在する細菌を誤って攻撃してしまうことで、腸に慢性的な炎症が起こると考えられています。
炎症性腸疾患は、先進国に多く見られる病気であり、衛生環境や食生活の欧米化との関連性も指摘されています。

潰瘍性大腸炎の特徴と症状

潰瘍性大腸炎の特徴と症状を紹介します。

潰瘍性大腸炎の症状

潰瘍性大腸炎の症状潰瘍性大腸炎は、症状が良くなったり悪くなったりを繰り返すことが特徴です。
症状が悪化する時期を「再燃」、症状が落ち着いている時期を「寛解」と言います。
潰瘍性大腸炎でよくみられる症状には、下痢、腹痛、血便などがあります。
症状の現れ方は、炎症の起こっている場所や程度によって異なります。
また、発熱、貧血、倦怠感といった全身症状が現れる場合もあります。
さらに、腸管以外の臓器、例えば、皮膚、関節、目などに合併症が起こることもあります。
症状が落ち着いている寛解期でも、腸の炎症が完全に治まっているわけではなく、病気が進行する可能性があります。放置すると大腸がんのリスクも高まるため、寛解期であっても、定期的な検査と治療を継続していくことが重要です。

クローン病の特徴と症状

クローン病の特徴と症状を紹介します。

クローン病の症状

クローン病の症状クローン病では、腹痛や下痢といった症状が多くの患者様にみられます。
これらの症状は、炎症が起こっている場所によってその現れ方が異なります。
また、発熱、倦怠感、血便、貧血、体重減少、腹部腫瘤なども多くみられます。
クローン病では、肛門周囲に膿が溜まる「肛門周囲膿瘍」や、痔ろうによって、肛門の痛みや膿が出るといった症状が現れることも少なくありません。
なかには、他の症状がみられず、発熱や肛門の症状が続くことで、クローン病が発見されるケースもあります。
さらに、消化管に穴が開く、腸管狭窄、膿瘍などの合併症が起こると、腹痛、下痢、腹部の張り、吐き気などを引き起こす可能性があります。
また、関節炎、虹彩炎、皮膚症状など、腸以外の臓器に合併症が現れることもあります。
クローン病は、潰瘍性大腸炎と同様、症状が良くなる時期(寛解期)と悪化する時期(再燃期)を繰り返すので、寛解期に入っても油断は禁物です。
症状が落ち着いていても、腸の炎症自体は続いているため、病気が進行したり、がん化したりする可能性があります。

炎症性腸疾患の検査方法

炎症性腸疾患の診断には、問診や様々な検査を組み合わせ、他の病気との違いを明らかにすることが大切です。

潰瘍性大腸炎の場合

問診で症状などについて詳しく伺った後、大腸カメラ(内視鏡検査)、CT検査、病理組織検査などを行います。
内視鏡検査では、大腸の粘膜に特徴的なびらんや潰瘍が見られることで診断されます。これらの病変は、大腸の表面層に多く見られるのが特徴です。

クローン病の場合

問診で症状などについて詳しく伺った後、大腸カメラ(内視鏡検査)、CT検査、病理組織検査などを行います。
内視鏡検査では、大腸の粘膜に特徴的な縦長の潰瘍や、こぶ状の盛り上がりなどが見られることで診断されます。これらの病変は、大腸の深い層まで広がっていることが特徴です。

炎症性腸疾患の治療法

潰瘍性大腸炎の治療法

潰瘍性大腸炎の治療は、症状の程度に合わせて行います。
基本的には、5-アミノサリチル酸製剤(アサコール、リアルダ、サラゾピリン、ペンタサなど)を中心とした薬物療法を行い、症状に応じて、免疫抑制剤(イムランなど)やステロイド薬などを併用します。
また、内服薬だけでなく、肛門から薬剤を注入する注腸療法や座薬を使用する場合もあります。
これらの治療法で効果が不十分な場合は、血液中から炎症の原因となる白血球を取り除く白血球除去療法を検討することもあります。
重症例では、ステロイド薬の点滴投与、生物学的製剤、免疫調節薬などが用いられます。
また、広範囲にわたって強い炎症が起こっている場合は、絶食にして腸を休ませるため、点滴で栄養を補給する中心静脈栄養を行うこともあります。
近年、潰瘍性大腸炎の治療は進歩しており、これらの治療によって多くの患者様が症状の改善を実感されています。

外科治療

潰瘍性大腸炎の治療は、薬物療法などの内科的治療が中心となります。
しかし、内科的治療で十分な効果が得られない場合や、重篤な合併症のリスクがある場合には手術が必要となることがあります。
潰瘍性大腸炎の手術では、病変のある大腸をすべて摘出するのが一般的です。
近年では、患者様の生活の質を維持するため、ご自身の肛門を残して、自然な排便をできるだけ維持できるような手術が行われることが多くなっています。

クローン病の治療法

クローン病は、現在のところ、完全に治癒させる治療法は見つかっていません。
しかし、炎症を抑える薬物療法などによって症状をコントロールし、寛解状態を長く維持することで、発症前と変わらない日常生活を送ることは可能です。
クローン病の治療では、症状に合わせて薬物療法を行います。
また、症状が強い時期には、十分な栄養が摂れない場合もあるため栄養療法を併用することもあります。
クローン病では、特定の食品が症状を悪化させることがあります。
ただし、症状の悪化に繋がる食品は、患者様一人ひとりで異なるため、ご自身の体に合った食事を見つけることが大切です。
食事療法など、日頃の生活習慣の改善が重要になります。これらの治療法を試みても効果が得られない場合や腸閉塞などの合併症を起こした場合には、手術が検討されることがあります。

薬物療法

クローン病の治療では、炎症をできるだけ早く抑え、症状が落ち着いている寛解状態へと導きます。
寛解期に入っても、その状態をできるだけ長く維持できるよう、治療を継続します。
当院では、患者様がクローン病と上手く付き合いながら、発症前と変わらない日常生活を送れるよう、しっかりとサポートいたします。

栄養療法

クローン病の治療では、症状が出ている間は、安静にして消化管への負担を軽減することが大切です。
また、食事を制限し消化管に負担をかけないようにすることで、炎症を抑える効果が期待できます。
栄養療法には、大きく分けて「経腸栄養法」と「中心静脈栄養法」の2種類があります。
経腸栄養法は鼻からチューブを通して、胃や腸に栄養を送る方法です。
中心静脈栄養法は、カテーテルを用いて、静脈に直接栄養を送る方法です。
腸の狭窄がひどい場合や、炎症が広範囲に及んでいる場合は、中心静脈栄養法が選択されます。
経腸栄養法では、症状や炎症の程度などに合わせて、脂肪分をほとんど含まない成分栄養剤、少量のタンパク質と脂肪を含む消化態栄養剤、カゼインや大豆タンパク質を含む半消化態栄養剤などを使い分けます。