TOPへ

過敏性腸症候群

過敏性腸症候群とは?

過敏性腸症候群とは?腸に異常がないにもかかわらず、慢性的な腹痛や下痢、便秘といった便通異常が長く続く病気を過敏性腸症候群といいます。 便通後には痛みが軽減されるという特徴もみられます。
原因ははっきりとは解明されていませんが、腸内細菌叢の変化、ストレス、過度な緊張などが関係していると考えられています。
過敏性腸症候群は命に関わる病気ではありません。
しかし、生活の質(QOL)を低下させる可能性があります。
薬物療法や生活習慣の改善によって症状を改善できる場合もあるため、お困りの際は当院へご相談ください。

過敏性腸症候群の
症状セルフチェック

お腹の不調や痛み、下痢や便秘といった症状が数週間から数か月続く場合、過敏性腸症候群の可能性があります。
以下のような症状がある場合は、過敏性腸症候群の可能性があります。

過敏性腸症候群の症状セルフチェック
  • 便秘や下痢が数か月続いている
  • 排便後、痛みが一時的に落ち着く
  • 排便しても、便が残っているような感覚がある
  • 排便の回数が不規則
  • 便の形状が悪い時期が続いている
  • ストレスを感じると、症状が悪化する

下痢型?便秘型?過敏性腸症候群の4つの種類

下痢型?便秘型?過敏性腸症候群の4つの種類過敏性腸症候群は、腹痛、下痢、便秘、膨満感などを引き起こします。
これらの症状は、不安や緊張といったストレスや食事内容などがきっかけで起こることが多くあります。
一般的に、腸の動きが活発になると下痢になりやすく、逆に鈍くなると便秘になりやすい傾向があります。
過敏性腸症候群では、この腸の動きの変化が大きく、症状が長く続くことが特徴です。
ただし、睡眠中に症状が出ることはありません。
なお、過敏性腸症候群は症状の内容によって、大きく4つのタイプに分類されます。

下痢型

過敏性腸症候群のタイプの一つに、突然の腹痛と水のような下痢に襲われるタイプがあります。これは比較的男性に多くみられます。お腹がグルグルと鳴り始めると激しい腹痛が起こり、トイレに駆け込むと水のような下痢に見舞われます。
排便後には症状は一時的に治まりますが、1日に何度も繰り返すことも特徴です。「トイレに間に合わないかもしれない」という不安から外出をためらうようになり、そのストレスがさらに症状を悪化させるケースも少なくありません。
日常生活や仕事にも大きな影響を及ぼす可能性があるため、早めに当院にご相談ください。

便秘型

便秘型は、腸が痙攣を起こして便が停滞し、腹痛を起こし、おならが多いけど、なかなかスッキリ出ず、ずっとお腹が張ったような症状が出ます。
女性に多く、小さくてコロコロした硬い便が出ます。
排便時にいきむ癖がついてしまうと、いぼ痔や切れ痔の発症リスクも上昇します。

混合型

混合型は、激しい腹痛を伴い、下痢と便秘を繰り返します。
若い世代の発症が多いのが特徴です。

分類不能型

分類不能型は、おならが多いなど、下痢型・便秘型・交代型とは異なる症状が主に現れます。
おならの頻度が増加した、においがきつくなったなどの症状があれば、過敏性腸症候群を含めた病気を疑い、受診しましょう。

過敏性腸症候群の原因

過敏性腸症候群の発症原因は、まだはっきりと解明されていません。
しかし、腸の機能障害が関係していると考えられており、ストレスや腸内細菌、食物、粘膜の炎症、遺伝など、様々な要因が指摘されています。
便秘や下痢といった症状は、腸の蠕動運動の異常が原因で起こります。
蠕動運動などの消化管の機能は自律神経によってコントロールされているため、ストレスの影響を受けやすく、便秘や下痢を引き起こしやすくなります。
ストレスの原因としては、緊張や不安だけでなく、過労や睡眠不足なども挙げられます。
過敏性腸症候群の治療で最も重要なのは、原因となっているストレスを取り除くことです。
しかし、ストレス要因を取り除くことが難しい場合は、薬物療法で症状をコントロールします。

過敏性腸症候群になりやすい人

過敏性腸症候群になりやすい人過敏性腸症候群のきっかけとなる自律神経の乱れは、主に緊張や不安といった「ストレス」によって引き起こされます。
プレッシャーや強い緊張感を感じる場面、ストレスを感じやすい環境では、症状が出やすくなる傾向があります。
また、一度過敏性腸症候群を発症すると、「また起こるかもしれない」という不安感が生じ、それがさらなる症状を引き起こすという悪循環に陥りやすくなります。
その結果、長期間にわたり症状に悩まされることも少なくありません。
ストレス以外にも、感染性腸炎からの回復後に過敏性腸症候群を発症するケースもあります。
感染によって腸が弱り、腸内細菌が変化することで、腸の運動と知覚機能が過敏になりやすくなると考えられています。

年齢

過敏性腸症候群は、かつては男性では働き盛りの30~40代、女性では20代と50代に多くみられました。
しかし、近年では男女問わず10代の発症も増加しています。

性格

排便の回数や症状には個人差があり、その方の個性とも言えます。
そのため、「理想の排便」を求めるあまり、いつまでも現状に満足できない方もいらっしゃいます。

体質

腹痛をストレス症状として感じやすい方は、過敏性腸症候群の発症リスクが高いと考えられます。
過敏性腸症候群は、遺伝や体質が関係しているともいわれており、ストレスや生活習慣なども影響すると考えられています。
そのため、過敏性腸症候群の方のお子様は、そうでないお子様と比べて発症リスクが比較的高い傾向にあります。

過敏性腸症候群の治療方法

過敏性腸症候群は、薬物療法でつらい症状を緩和させながら、生活習慣の改善やストレスの上手な解消で症状の解消と再発防止を図ります。

薬物療法

薬物療法生活習慣の見直しだけで十分な効果が得られない場合は、薬物療法も併用します。
下痢型か便秘型かなどを考慮し、患者様に最適な薬を処方します。
主に、消化管の機能を改善する薬剤を使い、便の水分バランスを整えたり、下痢や便秘などの症状を和らげたりします。
下痢型の場合は、予兆を感じた時点で服用することで、その後の症状を軽くできる薬剤もあります。
効果には個人差があるため、再診時にお話を伺いながら処方を調整していきます。
なお、過敏性腸症候群は慢性疾患であるため、短期間で完治する病気ではありません。
数か月~半年、あるいは年単位で、じっくりと向き合っていく必要があります。
また、一度症状が軽快しても、その後、何らかのきっかけで再発しやすいのも特徴です。

生活習慣の改善

生活習慣の改善過敏性腸症候群の症状を改善するためには、以下の様な生活習慣を心がけましょう。

  • 毎日できるだけ同じ時間帯に食事をとる
  • 栄養バランスのとれた食事を心がける
  • 暴飲暴食を避ける
  • 食物繊維と水分を十分に摂る
  • 香辛料やカフェイン、アルコールなど、胃腸に刺激の強いものは控える
  • 軽い運動を習慣にする
  • 毎日湯船に浸かり、体を芯から温める
  • 十分な休息と睡眠をとる
  • 趣味など、ストレスを解消する時間をつくる

何を食べたらいい?
過敏性腸症候群の食事療法

過敏性腸症候群の治療では、生活習慣の改善の一つとして、食事療法が重要になります。

低FODMAP食

FODMAPとは、発酵しやすいオリゴ糖、二糖類、単糖類、ポリオールといった糖類の総称です。
欧米では、過敏性腸症候群の患者様が、FODMAPを多く含む「高FODMAP食」を避けることで、症状が改善したという症例が数多く報告されています。
しかし、日本人の場合、高FODMAP食が消化管にどのような影響を与えるのか、どの程度の量で影響が出るのかなど、まだ全容が解明されていません。
また、低FODMAP食だけを食べていれば良いというわけではなく、栄養バランスの取れた食事を心がけることが重要です。
現時点では、高FODMAP食を食べる場合は摂り過ぎに注意し、症状が出た場合は次回から控える、低FODMAP食の中で自分に合った食品を見つける、といった対策が現実的かつリスクを抑えられる方法と言えるでしょう。

低FODMAP食

  • 米、玄米
  • 魚介類
  • 豆腐
  • バナナ
  • ニンジン
  • ジャガイモ など

高FODMAP食

  • 小麦
  • タマネギ
  • ニンニク
  • 大豆、ひよこ豆などの豆類
  • 牛乳、ヨーグルト、アイスクリーム
  • ハチミツ
  • りんご、桃、スイカ
  • ソルビトール、キシリトールなどの人工甘味料
  • きのこ類 など

食物繊維を含む食べ物

過敏性腸症候群の食事療法では、食物繊維の摂取も重要です。
ごぼう、こんにゃく、海藻類、納豆、きのこ類、バナナなどの食品は積極的に摂取することがお勧めです。
ただし、これらの食品も、食べ過ぎると下痢や腹部膨満感の原因となる可能性があります。
ご自身の体調と相談しながら、適切な量を摂取するように心がけましょう。

消化の良い食べ物

過敏性腸症候群の治療では、消化の良い食べ物を摂取するよう心がけましょう。
高カロリー・高脂質の食品、コーヒーなどのカフェイン入り飲料、アルコール、香辛料は、過敏性腸症候群の症状を悪化させる可能性があるため、できる限り控えるようにしてください。

牛乳・乳製品には注意

乳糖不耐症の方は、牛乳や乳製品を摂取するとことで、下痢の症状が現れることがあり注意が必要です。