- 大腸ポリープとは
- 大腸ポリープができる原因
- 大腸ポリープと大腸がんの関係性
- 自覚症状がない?
大腸ポリープの症状チェック - 大腸ポリープを放置するとどうなる?
- 大腸ポリープの治療方法(切除方法)
- 大腸ポリープ切除後の過ごし方
(注意点)
大腸ポリープとは
大腸ポリープは、大腸の粘膜の一部が盛り上がってできた「いぼ」のようなものです。
大腸ポリープ自体は病気ではありませんが、ポリープからがん化する可能性もあるため注意が必要です。
大腸ポリープは、大きく分けて「腫瘍性ポリープ」と「非腫瘍性ポリープ」の2種類があります。
腫瘍性ポリープは、がん化するリスクのあるポリープです。
特に「腺腫」と呼ばれるタイプのポリープは、大腸がんへと進行する可能性が高いため、早期に切除することが推奨されます。
非腫瘍性ポリープは、がん化のリスクはなく、出血などの症状を引き起こす可能性のあるポリープです。
非腫瘍性ポリープの中でも、「過形成ポリープ」は、以前はがん化のリスクが低いと考えられていました。
しかし、近年では、サイズが大きいものや、上行結腸や横行結腸にできた過形成ポリープは、がん化するリスクがあるという報告もあります。
大腸ポリープは、早期に発見し、切除することで、大腸がんを予防できる可能性があります。
定期的な大腸内視鏡検査で、ポリープの有無をチェックしましょう。
大腸ポリープができる原因
大腸ポリープができる原因は、主に遺伝子の異常と考えられています。
大腸の細胞にあるで「APC遺伝子」が生まれつき変わっていたり、変異が起こることで、ポリープが発生するきっかけとなります。さらに、ポリープができると「K-ras遺伝子」や「p53遺伝子」という遺伝子にも変異が加わり、ポリープががん化するリスクが高まると言われています。
ただし、遺伝子の異常だけで大腸ポリープや大腸がんが発生するわけではありません。
食生活の欧米化や運動不足、喫煙、加齢、大腸がんの家族歴など、様々な環境要因が重なることで、発症リスクが高まると考えられています。
遺伝
大腸がんや大腸ポリープの発症には、遺伝的な要因も関与していることが分かっています。
遺伝性の大腸がんには、家族性大腸腺腫症やリンチ症候群などがあります。
ご家族や親族に大腸がんや大腸ポリープの方がいる場合は、そうでない方に比べて、発症リスクが高くなる可能性があります。
そのため、ご家族に大腸がんや大腸ポリープの方がいる場合は、定期的な大腸内視鏡検査を受けることをおすすめします。
食生活
大腸ポリープは、食生活との関連が指摘されています。
高カロリー食や脂肪分の多い肉類(特に赤身肉や加工肉)の摂り過ぎは、大腸ポリープの発症リスクを高めると言われています。
反対に、野菜や食物繊維を豊富に含む食品は、大腸ポリープの予防に効果が期待できます。
バランスの取れた食生活を心がけましょう。
生活習慣
大腸がんや大腸ポリープを予防するためには、適度な運動を習慣化する。肥満を予防する、禁煙する、過度の飲酒を控えることが大切です。
また、50歳を過ぎたら、定期的に大腸がん検診、大腸カメラを受けるようにしましょう。
ご家族に大腸がんや大腸ポリープの経験者がいる場合は、30~40歳台から検査を受けることをおすすめします。
大腸ポリープと大腸がんの関係性
大腸がんは、大腸の粘膜から直接発生するケースもありますが、多くの場合、大腸ポリープががん化して発生すると考えられています。
大腸ポリープには、がん化するリスクが高い「腫瘍性ポリープ」と、がん化のリスクが低い「非腫瘍性ポリープ」があります。
腫瘍性ポリープの中でも、「腺腫」や「鋸歯状病変」は、がん化しやすく注意が必要です。
非腫瘍性ポリープの代表的なものとして、「過形成ポリープ」があります。
過形成ポリープは、以前はがん化のリスクが低いと考えられていましたが、近年では、特定の条件下でがん化する可能性も指摘されています。
大腸内視鏡検査では、腫瘍性ポリープやがん化の可能性のある非腫瘍性ポリープが見つかった場合、その場で切除することも可能です。当院では、大腸ポリープの日帰り手術での切除に対応しています。
ポリープを切除しておくことで、将来的に大腸がんになるリスクを減らすことができます。
自覚症状がない?大腸ポリープの症状チェック
以下の症状がある場合は、大腸ポリープが発生している可能性があります。
お早めに大腸カメラ(内視鏡検査)を受けることをおすすめします。
- 血便が出る
- 便潜血検査で陽性と指摘された
- 腹痛や下痢が続く
- お腹が張る
- 貧血
大腸ポリープができやすい人の特徴
大腸ポリープができる原因には、遺伝的な要因と生活習慣とが関係していると言われています。自覚症状がないことも多いため、定期的な検査が必要です。以下、大腸ポリープができやすい人の特徴になります。
- 50歳以上の方
- ご家族に大腸がんや大腸ポリープの方がいる方
- 喫煙習慣のある方
- 過度にお酒を飲む方
- 赤身肉や加工肉をよく食べる方
- 高カロリーな食事が多い方
- 肥満気味の方
- 糖尿病、高血圧、脂質異常症などの持病がある方
大腸ポリープは、年齢を重ねるごとに、その発生率が高くなる傾向にあります。
上記に当てはまらない方でも、一度は、大腸内視鏡検査を受けてみることをおすすめします。
大腸ポリープを放置すると
どうなる?
大腸ポリープは、多くの場合、良性の腫瘍です。
しかし、中にはがん化する可能性のあるものもあり、注意が必要です。
大腸ポリープを放置すると、以下のようなリスクがあります。
大腸がんのリスク
大腸ポリープの中には、がん化する可能性のあるものがあります。
ポリープが悪性化すると、大腸がんへと進行するリスクが高まります。
大腸ポリープを早期に発見し、切除することで、大腸がんの発症を予防できる可能性があります。
症状の悪化
大腸ポリープが大きくなると、腸を狭くしたり、刺激したりするため、腹痛、便秘、下痢などの症状が悪化する可能性があります。
大腸内の出血
大腸ポリープは、大きくなると周囲の血管を圧迫したり、傷つけたりすることがあります。
その結果、気付きにくい出血が起こり、貧血が慢性化するケースも見られます。
大腸ポリープの治療方法
(切除方法)
当院では、内視鏡検査中にポリープが見つかった場合は、その場で治療を行います。
ポリープ切除自体は痛みを伴いませんのでご安心ください。
ポリープ治療では、的確な診断と適切な治療法の選択が重要になります。
ポリープには様々な種類があるため、まずは切除の必要があるかどうかの判断が必要です。
ポリープの形や場所、粘膜の状態などを観察し、豊富な経験と適切な内視鏡操作に基づいて判断します。
ポリープ切除の方法は3つ
ポリペクトミー
(CFP、CSP)
内視鏡検査で用いるスコープの先端に装着したスネアや鉗子という器具を用いて、ポリープを切除します。
大きさが5~10mm程度のポリープ切除に用いられる内視鏡的ポリペクトミーには、高周波電流で焼き切る方法と、電流を流さずに切除するコールドポリペクトミーがあります。
EMR(内視鏡的粘膜切除術)
10mmを超える大きなポリープに対しては、内視鏡的粘膜切除術(EMR)が用いられます。
これは、内視鏡スコープの先端からポリープの根元に生理食塩水を注入して持ち上げ、スネアをかけて切除する方法です。
高周波電流を用いるものの、熱の伝わり方が限定的であるため、下層組織への影響は少なくなっています。
ESD
(内視鏡的粘膜下層剥離術)
ESDは、開腹手術を必要とせず、内視鏡を用いて早期がんを切除できる画期的な治療法です。
2006年に早期胃がん、2008年に早期食道がん、そして2012年には早期大腸がん・大腸腺腫が保険適用となり、患者様の負担軽減に大きく貢献しています。ESDは、従来の開腹手術に比べて入院期間が短縮されるだけでなく、広範囲の病変でも一体的に切除できるため、正確な病理検査が可能になるという利点もあります。
大腸ポリープ切除後の過ごし方(注意点)
食事面
大腸ポリープ切除後は、消化器への負担を減らすために、食事とアルコールには注意が必要です。
特に、食物繊維が豊富な野菜や果物は、消化の過程で腸に負担をかけ、便が硬くなることで切除部位を刺激し、出血のリスクを高める可能性があります。
脂っこい食事や刺激の強い香辛料も、消化不良や腸への刺激となる可能性があるため控えてください。
また、アルコールも出血のリスクを高める可能性があるため、禁酒を心がけましょう。
生活面
ポリープ切除後の長距離移動は、万が一、再出血した場合、速やかに適切な処置を受けることが難しい場合もあるため、当院ではポリープの大きさや切除方法に応じて、術後3~7日間は控えていただくようお願いしております。
また、入浴に関しては、血圧上昇や血行促進作用のあるサウナや長風呂は出血のリスクを高める可能性があるため、シャワー程度に済ませることをおすすめしています。
運動面
運動は、血圧を上昇させたり、腹圧をかけたりすることで、ポリープ切除後の創部からの出血リスクを高める可能性があります。
そのため、当院では、ポリープの大きさや切除方法にもよりますが、術後3~7日間は、ゴルフ、テニス、ジョギングといった激しい運動を控えていただくようお願いしています。
注意点
抗凝固薬や抗血小板薬など、血液を固まりにくくするお薬を服用されている患者様は、通常、処置の1~7日前から服用を中止していただいております。
これらの薬を服用されている場合は、必ず医師にお申し出ください。
大腸ポリープ切除後は、電気焼灼によってできた潰瘍をクリップなどで止血していますが、腹圧がかかる、腸の内容物が通過する際に、まれに出血や穿孔などの合併症が起こることがあります。
これらの合併症は、術後7日目頃までは起こる可能性があります。
合併症が発生した場合は、内視鏡的止血術や手術、入院が必要になる場合がありますのでご了承ください。