- 健康的な便の特徴
- 便の特徴から身体の変化をチェック!
- 便の色で分かる病気?異常な便の色とは
- 放置すると特に危険な便のサイン5つ
- 便は水に浮いたほうがいい?
沈んだほうがいい? - 便の色・形などに変化があれば
早めに相談を
健康的な便の特徴
一般的に、健康的な便は「黄褐色のバナナ状もしくは半練り状で、においが少なく、するりと出るもの」とされています。
具体的には、以下のような特徴が挙げられます。
- 形はバナナ状(直径3~4cm)
- 色は黄褐色(茶色〜黄土色)
- ブツブツと途切れない
- 排便回数は1日あたり1~3回
- 強くいきまなくてもするりと出てくる
- 表面はつるんとしている
- 排便時間は3分以内
- においはきつくない
便の状態が気になる場合は、自己判断せず、医療機関に相談してください。
便の特徴から
身体の変化をチェック!
普段、なかなか自分の便を見る機会はないかもしれませんが、便には健康状態を知るためのヒントが隠されています。
便の状態、色、においなどをチェックすることで、現在の体調を把握し、変化があった場合には体の不調にいち早く気づき、病気を早期発見できる可能性があります。
便の量
便の量は、食べた物の量や種類によって変化します。
1日の平均的な便の量は100~200g程度で、その約3分の2は水分、残りの約3分の1は腸内細菌、セルロースなどの不消化物、消化液、剥がれ落ちた腸の細胞などで構成されています。
排便量が極端に多かったり少なかったりする場合は、食生活を見直す必要があるかもしれません。
便の形
- 健康な便:黄褐色のバナナ状または半練り状で、においが少なく、するりと楽に出る
- ウサギの糞のようなコロコロとした便:大腸のどこかが痙攣しておこるけいれん性便秘の可能性があります
- 太くて硬い便:大腸の運動が低下した弛緩性便秘の可能性があります
- 硬くて断片的な便:便意を我慢することが多い人にみられることがあります
- ドロドロした便、水のような便:下痢の状態です。水のような便の場合、粘液、血液、膿などが混じっていると、細菌性赤痢や感染性腸炎、炎症性腸疾患などが疑われます
このように、便の形を見ることで、腸の運動機能や腸内環境の状態などを推測することができます。
便の臭い
便のにおいは、食べたものや病気の有無によって変化します。
においの原因物質は、腸内細菌によってタンパク質が分解される過程で作られる、スカトールやインドールなどです。
便秘などで腸内の滞留時間が長くなると、においが強くなる傾向があります。
また、強いストレスを感じている時や肉などの動物性タンパク質を過剰に摂取した場合、過敏性腸症候群などの消化器疾患がある場合も、便のにおいが強くなることがあります。
その他、直腸がんや膵臓の病気では、特に強い悪臭を放つことがあります。
便秘の場合は、規則正しい生活、適度な運動、食物繊維と水分の十分な摂取などを行うと、腸の活動を活かし、排便を促す効果があります。
便秘が解消されると、便のにおいを軽減できる可能性があります。
排便回数
一般的に、排便回数は1日1~2回程度が目安とされています。
1日3回以上の場合は下痢気味、1週間に3回以下の場合は便秘気味と考えられます。
特に、1日5回以上排便がある場合や、1週間に1~2回しか排便がない場合は、日常生活にも支障をきたす可能性があります。
便の色で分かる病気?
異常な便の色とは
便の色は、健康状態を判断する上での重要な指標の一つです。
一般的に、「黄褐色のバナナ状または半練り状で、するりと出る便」が健康な便とされています。
便が硬すぎる、便秘、柔らかすぎる、下痢、色がいつもと違うなど、いつもと便の状態が違う場合は、消化管などに何らかの異常が起きている可能性があります。
以下では、便の色に注目し、考えられる原因や病気を詳しく解説していきます。
黄褐色の便
黄褐色とは、黄土色から薄い茶色のことです。
この色の範囲であれば、健康な便と言えるでしょう。
ただし、色が正常でも、便秘や下痢が続く、便が細い、血液が付着しているなど、気になる症状がある場合は、注意が必要です。
黄色の便
黄色い便は、ひどい下痢の時に見られることがあります。
牛乳などの乳製品の摂り過ぎや、下剤の服用が原因となることが多く、その場合は原因物質を摂取しないようにすることで改善します。
ただし、下痢が続く場合は、胃腸の感染症や病気が疑われるため、医療機関への受診が必要です。
茶〜茶褐色の便
茶色や茶褐色の便は、食べ過ぎや飲み過ぎが原因であることが多いです。
食事量を適量に戻し、お酒を控えることで、比較的早く改善します。
濃褐色の便
濃い茶色の便は、肉類の食べ過ぎが原因であることがほとんどです。
ココアやチョコレートの摂り過ぎが原因となることもあります。
ただし、便秘によって便の水分量が減り、色が濃くなることもあるため、食生活を改善しても症状が改善しない場合は、注意が必要です。
緑色の便
主にクロロフィルを含む緑黄色野菜の多量摂取が原因です。
その他、消化不良、急性腸炎を原因とすることもあります。
灰白色の便
バリウムを飲んだ後に出る便は、灰白色になります。
また、肝臓の病気、膵臓の病気、腸結核などによって、灰白色の便が出ることもあります。
赤色の便
赤い色の便は、大腸の病気や、痔などが疑われます。
医療機関を受診し、検査を受けてください。
出血部位が肛門に近いほど、鮮やかな赤色になります。
黒色の便
黒色の便は、食道、胃、十二指腸など、上部消化管からの出血している可能性があります。
早急に医療機関を受診してください。
イカ墨や鉄剤などが原因で便が黒くなることもありますが、これらの摂取が原因の場合は、摂取をやめれば1~数日で元の色に戻ります。
放置すると特に危険な便の
サイン5つ
以下では、放置すると特に危険な「便のサイン」について解説していきます。
黒色便(タール便)
真っ黒な便が出た場合は、食道、胃、十二指腸など消化管の上部からの出血が疑われます。
別名「タール便」とも呼ばれ、コールタールのように黒く、粘り気のある便を指します。
例えば、胃潰瘍や胃がんが原因で出血した場合、胃酸の影響で血液中の鉄分が酸化し、黒色の便が出ることがあります。
一方、大腸からの出血の場合は、胃酸の影響を受けないため、便は黒色にはなりません。
便秘によって便が黒っぽくなることがありますが、タール便はそれよりももっと黒く、特徴的な粘り気があります。
急な細い便
いつもと比べて、急に便が細くなり、それが続く場合は注意が必要です。
大腸がんによって腸管が狭くなっている可能性があります。
食事の内容や腸の動きによって、一時的に便が細くなることは誰にでもありますが、大腸がんで腸管が狭くなっている場合は、便が細い状態が続く傾向があります。
ただし、大腸がんで、必ずしも便が細くなるわけではないため注意が必要です。
灰白色の便
灰白色の便は、膵臓がん、胆管がん、総胆管結石などの病気でみられることがあります。
健康な便が黄色っぽい色をしているのは、胆汁が含まれているためです。
胆汁は、肝臓で作られる消化液で、胆のうに蓄えられた後、胆管を通って十二指腸に分泌されます。
膵臓がん、胆管がん、総胆管結石などの病気によって胆汁の流れが妨げられると、十二指腸に胆汁が供給されなくなり、便の色が白くなります。
また、腸に流れるはずの胆汁が血液中に流れ込むと、皮膚や白目が黄色くなる「黄疸」が出現することがあり、尿に流れ込むと褐色尿(紅茶のような色の尿)が出ることもあります。
ゼリー状の赤色便(血便)
赤色のゼリー状の便が続く場合は、慢性的な腸炎が疑われます。
ゼリー状の血便は、大腸の粘膜からジワジワと出血していることを意味します。
特に、若い人に多い原因不明の慢性腸炎である「潰瘍性大腸炎」や、「赤痢アメーバ」という寄生虫による腸炎でも、ゼリー状の血便がみられることがあります。
表面に血が付着している便
排便時に、便の表面に血が付着している場合、大腸がんの可能性があります。
特に、大腸がんができやすいS状結腸や直腸にがんができた場合、便自体は通常の形をしているにもかかわらず、便ががんの部分を通過する際に出血し、便の表面に血が付着することがあります。
腫瘍からの出血量は、少量のジワジワとした出血から、大量出血まで様々です。
便は水に浮いたほうがいい?
沈んだほうがいい?
便が水に浮くか沈むかは、地域や食文化によって考え方が異なるようです。
日本では浮く便が良いとされる傾向がありますが、欧米では沈む便が良いとされることが多いです。
これは、肉食中心の欧米では、沈む便が一般的である一方、米や野菜中心の日本では、食物繊維を多く含むためガスが発生しやすく、便が浮きやすいことが関係していると考えられています。
しかし実際には、便が浮く場合も沈む場合も、健康な場合もあればそうでない場合もあり、一概に良い、悪いと判断することはできません。
便の浮き沈みだけで健康状態を判断するのではなく、便の硬さや色、においなども合わせて総合的に判断することが大切です。
便の色・形などに変化があれば
早めに相談を
便の状態の変化は、体の異変を知らせるサインです。
特に、便の色の変化は大腸がんをはじめとする重大な疾患の早期発見に繋がる可能性があるため、注意が必要です。
毎日とは言わずとも、時々、便の色をチェックするように心がけましょう。
また、色以外にも、便秘、下痢、便が細くなる、ひどい悪臭など気になる症状がある場合は、放置せずに、医療機関を受診してください。
当院では、痛くない大腸カメラ・胃カメラ検査、また最新のCT検査を実施しておりますので、お気軽にご相談ください。